2026年7月22日水曜日

熊スプレーの罠

 いま、YouTubeにあふれる熊対策動画を見ると、そのほとんどが「熊スプレーこそが唯一の切り札だ」と薦めています。
最近までは「熊鈴を持っていれば、熊は寄ってこない」と言われていました。
しかし、昨今、熊の頭数が爆増し、遭遇事故が増えたため、熊の本当の性質が、よく分かるようになりました。
人の天敵である熊が、そこら中に放たれている。
だからこそ、命を守るため、撃退するために「1万円の熊スプレーを持て」ということになっているようです。

しかし、私たちは、2009年に起きた、あの乗鞍・魔王岳の惨劇の現実を、忘れてはなりません。
あの大惨事の際、現場では実際に「熊スプレー」が使用されました。
しかし、観光バスと衝突して、完全にパニックに陥った熊には、スプレーの激痛すら、全く効かなかったのです。
そればかりか、噴射されたガスは、周囲にいた大勢の観光客たちの目と喉を潰し、避難経路をパニックで自滅させる、最悪の結果を招きました。
山奥ならまだしも、短いルートに何十組もひしめき合い、すぐ下には、観光バスで学校単位の子どもたちが乗り付けるキッズエリアがある。
観光地のパラダ、もとい、ここ平尾山。
そんな人口過多の場所で、熊スプレーを引くという行為は、魔王岳の地獄を、人間の手で強制的に引き起こす、最悪の起爆剤に他なりません。
登山者であり「孤高の人」であるなら、熊スプレーを唯一の撃退方法とするのも、良いでしょう。
しかし、観光地でその方法をとれば、かつての悲劇の二の舞となります。
観光地を抱える自治体は、観光地として人を呼び寄せる以上、天敵である熊を、このまま野放しにしておくことは、絶対に許されないのではないでしょうか。
皆様は、この「観光地における熊スプレーの罠」を、どう思いますか?

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